tkm2261's blog

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エンジニア勉強会(コミュニティ)運営について思うこと- 適度な内輪感と公共性の両立

こんにちは、tkmです。

このブログではポエムはあまり書かないことにしてたのですが、最近エンジニア勉強会(特にML系)が募集後すぐに埋まるツイートを目にしたので、

エンジニア勉強会全盛期(TokyoR, TokyoWebMiningなどの時)に学生で参加してから、kaggle meetupとかで運営するようになったので色々思うことを垂れ流して見ます

持続的な勉強会(コミュニティ)に必要なこと

適度な内輪感と公共性の両立

色々考えたけど全てこれに尽きる気がしている。もちろん内輪盛り上がりは大嫌いなんですが、ある程度コミュニティの核となる人々が居ないと結局盛り上がらないので”文化”的なsomethingのためにある程度は必要。コミュニティが死んでいかないためにも裾野を広く公共性(誰でも参加できる)も維持する必要がある。

言うは易しで、これをやっていくのは結構大変

質の高い発表者の確保は最優先

質の高い発表のない勉強会はただのおままごとなので、もちろん必須ですが、コミュニティが大きくなるに連れて意外と大変になります。

運営から一言声を掛けるのがとても大事

勉強会が有名になると発表者にプレッシャーがかかるようになって、優秀な人でも尻込みするようになってきます。

特に学生は最先端の研究に従事していても、”大人”達の前で発表するのは苦手だったりします

某勉強会の主催者は懇親会とかで、ちょっと今やっていることを話すと「次発表してくれるんですよね?」と声をかけてくれて学生ながらに嬉しかったことを記憶していて、私も真似するようにしています。

学生に限らず、自発的発表する人は少なくても、依頼されたら話しても良いかという人は多いので、

心理的に発表者を「依頼されたし、とりあえず話してみるか!」というステータスにするのがとても大事

発表することが目的の発表を排除

勉強会が有名になると、「あの勉強会で発表したい!」というのが全面にでて「やってみました」系の発表が増えてきます。

もちろん発表者のモチベーションの一つになるのは良いんですが、そういう発表が多くなると、勉強会にいっても何も勉強にならないという状態になってコミュニティが衰退していきます

kaggle meetup運営でも合意が取れてて、金メダル圏内相当かつ半年に一回程度開催にしているのもこの辺りがあります。kaggle meetupは基準が明確なので運営すごい楽なんですよね。。。

参加者の質も最低限確保したい

勉強会おじさんは絶対排除。慈悲はない

これはよくネタになりますが、勉強会おじさんと「勉強させてもらいます」勢はいても大体コミュニティに貢献しないのでなるべく減らす必要があります。

勉強会の大前提は互助会なので。

今まで全く手を動かしてなかった人が勉強会を機に初めることはまずないです。さらに、そういう人は有名人に絡みたがるでの大事なコミュニティ構成要員が参加を見合わせるようになるので害すらあります。

ただこれはとても対応が難しいのですが、kaggle勉強会の場合は運営で話し合った「どんなコンペでも1 submit経験 (titanic可)」という基準が比較的妥当性があるので助かってますが、他の勉強会では難しいですよね。。。

論文輪読会だと全員読んで発表というのもありましたが、ここまで硬派になると優秀勢でも時間がないと参加出来なくなってしまうので難しいですね。

それでも新規参入者の敷居は低く

最初コミュニティに参加するときには、少なからず「入って大丈夫かな?」という心理が大きいので外からみて怖くないことを留意した方が良いです。コミュニティの活発さは裾野の広さが大事ですし、エンジニア界隈コミュ障が多いのでこういった気遣いが優秀な人が参加してくれるきっかけになります。

kaggle slackの告知でも、自動で参加できる事を繰り返し周知しましたが、slackに入るときにメアド入れるのってちょっと怖いですよね。

slack参加に管理者にDMかメールが必須とかになると、ガクッっと新規で来てくれる人が減るかと。

内輪盛り上がりは予想以上に外部から醜悪に映る

ある勉強会では、運営&常連メンバーをネタにしたスライドを入れて笑いをとってたりするのを見て、混じりたくない感を感じたことがあります。

競プロ勢の「はいプロ〜」のノリも最初拒否感を覚えたし、kaggle勢の”イキリ”も結構拒否感ある人がいると思ってます。

ただし、内輪盛り上がりて内輪に入ってると凄い楽しいんですよね。勉強会なんて仲の良いグループで集まってるだけで、「なんで楽しい事を自重しないといけないねん!」という主張は最もかと。

ただこれをやると、厳し目に始めた専門書輪読ゼミが、一人消えまた一人消え、新規は来なくて、最後まで読みきらずに瓦解する感じで衰退していきます。

コアになる常連メンバーは必要

矛盾するようですが、内輪盛り上がりはある程度必要で常連メンバーは絶対必須です。

有名勉強会はチケットが公開直後数分で売り切れるのもざらだと思います。こうなると獲得競争に勝つのは大体ずっと行きたかった新規の人が多く、参加者の質が担保されなくなります。

優秀勢の勉強会への参加&発表目的は、「あの人と議論したい&意見を聞きたい!」なので勉強会行くとあの人に会えるといのは大事です。

あと大体勉強会を始めた人々は、仲いい奴らで技術を肴に飲みたいというモチベで始めている事が多いので常連は参加できる仕組みがあると良いです。

kaggle meetupの金メダル枠も公共性を維持しつつ、いつものメンツで集まるにはどうしたらよいかという議論で生まれました。これまた普通の勉強会では難しいんですよね。。。

あとconnpassとかとは別に運営招待枠を裏で確保しておくのも有効です。

運営は出しゃばらない

エンジニア勉強会全盛期には勉強会の主催者になるのが一種のステータス感がありTwitterのbioに盛り盛りで書いたり、開始前トークがやたら長い人が一杯いました。

あれは発表者のやる気を削いだり、変なメンバ(勉強会おじさん・よいしょ勢)が集まるだけなのでやめたほうが良いです。主役は発表者

これも一種の内輪盛り上がりですかね

どこまで公共性を追求するか

勉強会は「気の合う奴らでワイワイやりたいだけなのに、なぜ公共性」というのは説得力ある主張です。

ただ新しい人を呼び込まないと、コミュニティとしてはすぐ衰退していくのでバランスがとても難しいです。

kaggle meetup運営でも意見が割れるし、比較的公共性重視の私でも「数百人規模でカンファレンスレベルでやるか?」と聞かれたら反対します。

幸いにして日本でもトップのkagglerの方に発表をお願い出来ているので、なるべく公平に参加機会をと思っているのですが、kaggleメダル保持者枠を増やして常連メンバの参加を増やしたいのが人情だったり

試験的にYoutube配信はやりましたが、運営負荷が高い(配信することの周知徹底や設営)のと発表者も萎縮したり拒否もあるので答えは出なかったり。

裾野の広さはコミュニティの鍵なのですが、内輪感と公共性の両立はとても難しいです

ただ、slackを作ったのはかなり成功で、現在5,000人ぐらいいますが勉強会以外でもコミュニティの構築にかなり寄与してくれています。

いま思っていること

優しい終身の独裁者は必要なのか

自分が学生で勉強会に参加していたころ、大したことないおっさんが何仕切っとんねん、と思ったりしたこともあったりなかったりなので、

運営の新陳代謝したほうがいいのかなーと思ったりもします。ただ有名OSSプロジェクトをみるとリーナスとかの優しい終身の独裁者がやっぱり必要な現実をみると、変に進めないほうが良いのかと思ったりも。自分も老害化はいつかするだろうから難しい

日本における技術的なコミュニティってどうなっていくのか

昨今、国内学会は大体衰退の傾向にあると思います。もちろん英語と能力があれば国際学会で活躍すれば良いと思いますが、国内学会果たしていた日本語での知見共有とコミュニティの役割はどうなって行くのかなと

いま留学をしていて、大体どこの国も自国の同期入学者とかとはwechatとかで入学前に繋がっている一方日本のものはなかったりします。

もちろん日本人が少ないのは要因ですが、結構みんな私も含めて「留学に来て日本人と馴れ合わない」と思っている節があります。

Youtubeで新作ゲームに日本語動画だけコメント出来なかったりとかもありますし、日本人の現代の気質はコミュニティ形成に向いてなかったりするのかなーと考えたり

現代のOSSプロジェクトの成功はインターネットで世界規模のコミュニティが形成できているからと思うので、なんとか日本でも良質なコミュニティが出来るとよいですね。

昔、一億総〇〇が出来た過去をみると不可能ではないのかなと。