tkm2261's blog

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米国大学院でCS修士について書いてみる

お久しぶりですtkmです。

今日は1 quarter終わったのでこちらで修士を目指すとどういうことが起きるかということを報告していきたいと思います

以前ブログやTwitterでご支援を依頼したところかなりの方から、支援を頂いたので極力こちらでの生活や大学の事はブログにしていきたいと思っています。 もし聞きたい話とかありましたらTwitterなどで教えてください。

※注意 本稿ではUCI Master of Science in Computer Science programの話をします。こういう話の一般論は大概役に立たないので、特定プログラムの詳細について話して行きます。

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米国で修士を取るメリット

1. 卒業後に米国で就労できる

F-1ビザで留学する場合、OPTという制度で学位取得後に1年間、STEM系の場合は3年間米国で就労することが出来ます。

3年あるのは結構大きく、1年しかない日本のMBA留学者がなかなか職を見つけられないのもこの辺も関係してます。この点理系留学はお得です。

米国の就労ビザH1-Bは抽選がある上に狭き門なので、確実に外国人が働く方法として学位はオススメです

そのため大半の方は

『米国修士就労ビザを金で買う制度』

と思って間違いないです。お値段大体300万円〜1,000万円

ただし米国就活戦線は厳しいので職が見つからないケースも普通にありえます。

2. 教授とのコネ (for Ph.D.)

こちらの修士は研究室所属は必須でないですが、研究に興味がある学生は教授にお願いして研究室に所属することが出来ます。

米国のPh.D.は教授がお金を払って学生を集めるので優秀な人をとりたいのはもちろんですが、知っている(安牌)を採用したいバイアスがあります。

そのため、既に知っている or 知っている方からの推薦(推薦状)がとても重視されます。

修士で研究室に所属すると、そのままPhD取ってくれる or 推薦状書いてもらえるとなるのでPh.D.応募にかなり有利になります。

「どうしても一流大でPh.D.を取りたい!」という方は、修士から潜り込むのも戦略としてアリです。

教授によっては、教授の担当する授業でA~A+とってないと研究室所属できないという場合もあるので入ってからも大変ですが

3. 友人

仕事から米国に来る場合に比べて友人が出来やすいです。友人が多いと人生豊かとかもありますが、ビジネス英語以外を学ぶ機会も多いのと、この友人たちは米国を始め世界中に散らばるので交友関係はとても助かります

この辺は既に働いているかたならよく分かると思います。

4. 海外経験(笑)

クソどうでも良いですが、日本に蔓延る海外厨を相手にしなくてすみます。

日本で修士を取るメリット

1. お金

北欧とかと比べられて何かと批判されがちな日本の大学システムですが、個人的にはとても良くできていると思います。

それでいて国立大学で年間50万円前後は米国に比べると破格です。

(誰が犠牲になってるかというと、教員なんですが)

UCIの場合は大体1 Quarter $10,000 = 120万円 ぐらいです。夏は無いので年間360万円が学費です。

これは州外からくる学生の授業料で、州外の学生の場合は大体120万円ぐらいです。

将来日本の授業料もこれぐらい上がってくるかもしれませんね。

2. 研究がしやすい & 授業が忙しくない

日本の場合は修士は基本的に研究室に所属して、修論を書いて、あわよくば投稿も目指せるのは素晴らしいです。

米国の修士は授業がとても忙しいです。UCIの場合卒業までに11授業を取る必要がありますが、1Qに3授業とるととても忙しくなります。

更に、授業料が高いので大体1年半(4 ~ 5 quarters)で卒業することを目指す人が多く、これに研究をいれるととても大変です。

Ph.D.で入学した場合授業料は教授もちなので、1Qに1~2授業で2~3年かけて卒業要件を満たせるので事情が異なります。)

日本の場合は、授業はおまけ程度でGPAも見られないので研究に集中したい人にはとても良い環境です。

日本の修士で海外にコネのある教授の下で、研究業績上げてPh.D.もしくは研究留学を目指すのが多分一番良い道です。

私の日本の修士時代は人生でも有数に楽しい期間でした。

3. 日本企業へ就職しやすい

いくら米国の大学を出ていても、米国の就活戦線はとても大変なので米国で職が見つからない可能性は普通にありえます。その場合日本での就活はやはり日本に居たほうが有利です。

あと若いときは大体なんとかなりますが、40代とかで日本に戻って来たときに日本での就業経験が無いどう転職活動してよいかわからないケースもあるかと

ガラパゴスと散々揶揄される日本ですが、逆に考えると日本というあらゆる産業を抱えた市場が、日本語という強大な障壁に守られているのは日本人労働者によって有利に働きます。disるよりも上手い付き合い方を学んだほうが賢いです

留学で貯金使い切っても私が比較的楽観的なのも日本での就業経験+転職経験+フリーランス経験によるところが大きいです。

特定の国の商習慣を知っているというのはかなり大きいです。

米国修士にオススメな人

ビザだけが問題な技術者

『米国修士就労ビザを金で買う制度』なのでオススメです。

さらに米国でエンジニアとして働くには関連学位がほぼ必須なので、非CS学位で日本で働いている人とかはこれもメリットです。

多少英語に不安があっても、1年修士に通えばかなり上達するのでそれもオススメです。なんだかんだ久しぶりに受ける授業も楽しいですよ

ただし、米国就活にコネはとても大事なので卒業時期にリファレンスもらえるあては目をつけておいたほうが良いです。

絶対に米国で働きたい学生

親御さんと要相談ですが、米国就労ビザの壁はかなり高いのでノリと勢いで来てしまうのもアリです。

ただ米国就活戦線はとても厳しいので、対外的に参照可能な実績や就業経験、米国企業で働いてるリファレンスもらえる友人のあてとかはあった方が良いです。

研究が目的の場合は、日本の大学院にいって

  • 海外と交流がある先生の研究室に潜り込んで
  • 研究成果をだして
  • 推薦状をもらってPh.D.入学を目指す

これが一番成功率が高いです。別に学位が目的でないなら日本のPh.D.中に研究留学1年とかでも良いと思いますし。

米国CS修士の諸々(卒業要件・期間・費用)

卒業要件

UCIのMSCSの場合、以下の2通りの卒業の仕方があります。

  • Comprehensive Exam option
  • Thesis option

Comprehensive Exam optionの場合は必修科目のうち3つでComprehensive Examという試験を受けて合格すること。ただし授業によっては授業評価がB+以上とかで別途試験がない科目もあります

Thesis optionは日本の修士と同じ感じです。学内の論文審査に通ると卒業できます。

多くの学生はComprehensive Exam optionを選択します。理由としてはお金です。Thesis optionは大体2年を要するので、1年半で卒業できるComprehensive Examに比べて数百万変わって来ます。世知辛いです

期間

とくに卒業までに決まった期間はありません。卒業要件が満たせれば卒業できます。

  1. 11授業履修
  2. そのうち選択必修4科目 + そのうちComprehensive Exam 3授業
  3. Seminarを3 quarters履修 (学外の人とかの話を聞く週1授業)
  4. 1 quarterに最大16単位履修可能 (各授業が4単位、seminarが1単位)
  5. 既に修士号を持っている場合は2授業まで移管可能(要審査)

要件3があるので、最短は3 quartersつまり1年卒業が可能ですが、11授業履修が必要で1Qに3授業が限界と考えると1年3ヶ月が現実的です。(秋, 冬, 春, 秋の4 quarters、夏はない)

周りをみても大体4〜5Qで卒業する人が多いです。ただ卒業要件満たしたあとも1Q800ドル払うと籍は残せるらしく就職留年する留学生もそこそこいます

日本で修士を持っている場合は要件5で最後の秋Qを減らせるので1年卒業が可能です。私はこれを狙ってますが中国人留学生でも3Q卒業は見ないらしく出来たら相当レアなケースです。

さらに夏インターンがなくなるのもデメリット(OPTで普通に働くことになる)

費用

UCIのMSCSの場合、大体1Qに10,000ドル= 120万円かかります。

1Qに3授業とって4 quartersで卒業とすると480万円、生活費が月10万とすると全部で600万ぐらいの試算です。

これはカリフォルニア州立大学でstate-sponsored programの値段です。その他にprofessional masterもありそちらはもう少し高いです。

私立大の場合は授業料が倍以上かかるイメージですが、よくわかってません

米国就活戦線

まだほとんど経験してませんが、気になる人が多いと思うので触れます。

リファレンス無いとほぼ無理ゲー

米国の大手企業には世界中からアプリケーションが集まるので、普通はresume screeningを突破するのは至難の業です。

見る側も大変なので企業側もリファレンス前提で動いており、大手は従業員からリファレンスを管理するシステムすら作ってるところがあります。

米国一流大修士の日本人の方はリファレンスなしで100社応募して受かったのは2社といってました。

その方は知り合いの知り合いで直接面識なかったので、リファレンスお願いするのは図々しいかなと思ってましたが、むしろお願いした事を褒められました。

善悪は置いておいて、そういう感じになっています。

さながらハンター試験

就活関連で聞いた話で『見知らぬ大学にいって、片っ端から学生に声掛けてTeslaのインターンを獲得した人がいる』というのがありました。

これが美談として語り継がれていることから『resume screeningを突破するにはあらゆる手段が合法化される』という感があります。

試験会場にたどり着くのに大半が脱落するさながらハンター試験の様相です。

コネでもなんでも総動員して企業リクルータと直接話しが出来るレベルにいかないと文字通り話にならないです。

大学Job Fairは地獄

大学の就職フェアには多くの企業がきて、その場でインターンの面接をやったりします。

ただその面接に1社あたり90分ぐらい並んで、面接も立ったまま3分ぐらいです。英語がアレな時点でほぼアウトですし、非STEMでデータ分析やりたい勢とかも多くいたりで地獄。

リファレンスの大事さを痛感した一日でした。

Kaggleはいいぞ

ポジショントークですが、kaggleはかなり役に立ちました。

  • 英語下手でも3秒で自己PRできる
  • データ分析に力を入れている企業が分かる
  • 「御社のコンペで上位でした」は強い
  • コンペ入賞者は企業のMLチームと直にやり取りしているので、知り合いだとリファレンスをお願いできる

あとコーディングインタビューは必ずあるので競プロもLeetcodeとかはやっといたほうがよいです。あとはCracking the coding interviewを読むとか